自分自身は戦争を直接経験してはいなくても、戦争を経験した親世代、祖父母世代との関係性の歴史を通して、今なお、戦争の影響を生々しく生きておられる方がいらっしゃることを、あるクライアントさんとの出会いを通して学ばせていただきました。
この方との出会いをきっかけに、知られていない、もしくは十分には気づかれていないだけで、上の世代の経験した戦争の影響をさまざまな形で受け、今のくるしみや生きづらさとして体験している方が、数多くいらっしゃるのではないかとおもうようになりました。
そんな折、たまたま以下の番組の放送を聴きました。
支援団体を主催する黒井秋夫さんのお話や、番組に寄せられたお便りなどを通して、戦争によるトラウマがどのようなもので、その影響がどのように下の世代に及んでいく可能性があるのかについて、その一端を知ることができます。
https://www.tbsradio.jp/articles/99109/
広範なテーマが含まれている内容ですので、この番組をきっかけに、さまざまな方たちの体験やお気もちに思いをはせました。
番組の終わりの部分で、黒井さんがお話になっていることが印象的でした。
生まれ育った環境から受けとりつづけてきたものや、生まれ育った環境を生き抜くために身につけてきたありようが、自分の中から無意識のうちに出てくるのは、自然なことだとおもいます。
ですからたとえば、戦争中兵士であったお父さんが、おそらくはその影響により家庭内で暴力的であった場合、子どものころつらい思いをしたからこそ、自分はそのようにはなりたくないと強くおもっていたにも関わらず、気づくと自分が、傷つけるような言動を周囲の人に向けてしまっていた、ということも少なくないとおもいます。
長い時間をかけて形成された反応のパターンを変化させるのは、簡単なことではありません。
だからこそ、人を傷つけてしまう言動がおもわず出てくるような自分のありようを、次の世代にわたしてしまわないようにしたいと願い、努力されている方に出会うと、いつも心動かされ、尊いと感じます。
親世代、祖父母世代の戦争の経験が、下の世代に及ぼす影響
